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「そろそろ、リハビリパンツを考えた方がいいのかもしれない…」
そう思いながらも、何から手をつければいいのか、テープ式おむつと何が違うのか、そして何より、ご本人にどう切り出せばいいのか、悩んでいませんか?
リハビリパンツへの移行は、介護における大きな一歩です。しかし、それは決して後ろ向きな選択ではありません。むしろ、ご本人の自立を支え、ご家族の負担を軽くするための、前向きで賢明な一歩なのです。
この記事は、その一歩を、後悔のない、最良の選択にするための「決定版」ガイドです。
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リハビリパンツ(リハパン)とは?テープ式大人用おむつとの違い
リハビリパンツは、単なる薄いおむつではありません。その目的は「排泄の自立支援」です。まず、混同されがちなテープ式大人用おむつとの違いを、表で明確に理解しましょう。
比較項目 | リハビリパンツ(リハパン) | テープ式大人用おむつ |
主な対象者 | 自分で立てる・歩ける方 | 寝て過ごす時間が長い方 |
形状 | 下着と同じパンツ型 | 開いた状態で、テープで留める |
交換方法 | 自分で着脱可能 or 介助者が下ろす | 主に寝たままの状態で介助者が交換 |
メリット | 自立意欲の維持、動きやすい | 吸水量が多い、交換が容易 |
デメリット | 吸水量が少なめ、単価が高い | 動きにくい、本人の意欲低下の可能性 |
リハパンを選ぶべき、本人と家族の5つのメリット
リハビリパンツへの移行は、ご本人とご家族の双方に、計り知れないメリットをもたらします。
- トイレに行く意欲が高まる:自分で上げ下げできるため、「トイレで排泄しよう」という自立心が芽生え、リハビリへの意欲も向上します。
- 自尊心を維持できる:おむつではなく「下着に近いもの」という認識が、ご本人の羞恥心を和らげ、尊厳を守ります。
- 動きやすく行動が制限されなくなる:ごわつきが少なく、普段の下着に近い感覚で動けるため、散歩やデイサービスへの参加が億劫になりません。
- 漏れやにおいの不安が軽減される:最新の製品は、薄くても高い吸収力と防臭機能を備えており、安心して外出できます。
- 介護者の負担軽減にもつながる:トイレ誘導がスムーズになり、テープ式おむつのような複雑な交換作業から解放され、精神的・肉体的負担が軽くなります。
【監修コメント:介護福祉士・A氏】
現場で多くの方を見ていると、テープ式おむつからリハビリパンツに切り替えた瞬間、ご本人の表情が明らかに変わることがあります。「自分でトイレに行けるかもしれない」という小さな希望が、日々の会話やリハビリへの意欲に繋がるのです。介護は「できないこと」を補うだけでなく、「できること」を最大限に引き出す支援でもあります。リハパンは、そのための非常に重要なツールの一つです。(出典: 厚生労働省「自立支援・重度化防止に向けた更なる取組の推進」)
【監修コメント:理学療法士・B氏】
「まだ歩けるから大丈夫」と思っていても、転倒への恐怖心から活動量が減ると、筋力は驚くほどの速さで低下します。リハビリパンツの安心感は、ご本人が「もう一歩、外に出てみよう」と思うきっかけになります。動きやすいリハパンで日中の活動量を維持することは、「寝たきり」を防ぎ、ご自身の足で長く歩き続けるための、重要なリハビリテーションの一環と言えるでしょう。(出典: 公益社団法人 日本理学療法士協会 機関誌「理学療法学」)
失敗しないリハビリパンツの選び方ガイド
リハパンの正しいサイズの測り方と、失敗しない選び方のコツ

間違ったサイズを選んでしまうと、尿漏れの最大の原因となります。必ずメジャーで「ウエスト(おへその周り)」と「ヒップ(お尻の一番大きい部分)」の両方を測り、大きい方のサイズに合わせて選びましょう。
【サイズ対応 早見表(目安)】
サイズ | ウエスト/ヒップ | 身長 | 体重 |
S | 50~75cm | 145~160cm | 35~50kg |
M | 60~90cm | 150~170cm | 45~60kg |
L | 80~125cm | 160~180cm | 55~75kg |
LL | 95~140cm | 170cm~ | 70kg~ |
※身長・体重はあくまで目安です。漏れを防ぐためには、ウエストとヒップの測定値を優先してください。
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吸水量(吸収回数)を決める(日中用/夜用)
パッケージに「吸収回数〇回分」と書かれているのが吸水量の目安です。
メーカー各社が採用する1回分の尿量は150mL〜200mLと幅がありますが、本記事では150mLを基準に記載します。高齢者は個人差が大きいため、あくまで目安として参考にしてください。
肌トラブルを防ぐ素材で選ぶ
長時間肌に触れるものだからこそ素材は重要です。特に肌がデリケートな方は、かぶれや床ずれのリスクを避けるために、以下の点に注目しましょう。
- スキンケア手順:交換時は、強くこすらずぬるま湯で優しく洗い流すか、専用の清拭剤を使います。その後、しっかりと乾燥させ保湿剤を塗ることが、肌トラブル防止の基本です。
- 高機能素材:最近の製品は、弱酸性素材で肌への刺激を抑えたり、通気性シートでムレを防いだりする工夫がされています。
【メーカー別】主要5ブランドの特徴と代表的ラインナップ
ブランド別 特徴早見表
メーカー | 主な特徴 | 代表的ラインナップ例 |
アテント(大王製紙) | 「肌へのやさしさ」を追求。通気性や素材にこだわり。 | ・うす型パンツ(安心の3回吸収)・長時間パンツ(男女共用 8回吸収) |
ライフリー(ユニ・チャーム) | 「リハビリ」を強力に支援。歩きやすさ、ズレにくさに定評。 | ・うす型軽快パンツ ・長時間あんしんリハビリパンツ |
リリーフ(花王) | 「漏れにくさ」と「防臭機能」に強み。長時間でも安心。 | ・まるで下着(2回分) ・長時間パワフル(5回分) |
リフレ(リブドゥ) | 医療・施設向けの実績豊富。機能性とコストのバランスが良い。 | ・はくパンツ(うす型/レギュラー) ・すごい吸収パッド |
ネピアテンダー(王子ネピア) | 高い品質とフィット感を重視。インナーウェアのような快適さ。 | ・うららか日和(幅広テープ) ・パンツタイプ |
【性能データ比較】メーカー公表値で見る、本当の実力
各社が公表している性能データの一部を比較してみましょう。これにより、各製品の強みがより客観的に分かります。
メーカー・製品例 | 吸収量(公表値) | 肌へのやさしさ(特徴) | その他の強み |
アテント うす型パンツ 安心の3回吸収 | 約450ml | 弱酸性素材、全面通気性シート | 消臭機能 |
ライフリー うす型軽快パンツ | 約300ml | 特許技術「スッキリ吸収体」でごわつかない | 歩きやすい「スッキリフィット」構造 |
リリーフ 長時間パワフル 5回分 | 約750ml | pHコントロール素材、かぶれにくい | 尿量が多くても逆戻りしにくい |
リフレ はくパンツ レギュラー | 約600ml(LLサイズ) | やわらか素材、クロスライクシート | 医療・施設向けの高い信頼性 |
ネピアテンダー パンツタイプ L | 約450ml | 通気性、フィットギャザー | 下着のようなフィット感 |
※注:吸収量は各社の測定方法により異なります。あくまで参考値です。
価格相場と賢い購入法(知らないと損する公的支援も)
サイズ・吸水量別の価格相場
各サイズ・吸水量別のリハビリパンツ1枚あたり価格相場をまとめました。購入時の価格比較の参考にしてください。
- S~Mサイズ(2~3回吸収):1枚あたり 約80円~110円
- L~LLサイズ(2~3回吸収):1枚あたり 約90円~130円
- 長時間・夜用(5回吸収以上):1枚あたり 約120円~160円
【応用編】購入と家族連携をスムーズにする小ワザ
- ドラッグストアの「店舗受け取り」を活用:ネットで注文し、最寄りの店舗で受け取れば、送料を節約しつつ、家族が仕事帰りにピックアップできます。
- LINEで在庫情報を共有:「〇〇のLサイズがなくなりそう」といった情報を、家族のLINEグループで共有するだけで、買い忘れを防ぎ、在庫管理の負担を分散できます。
おむつ代に使える公的支援・助成制度
- 医療費控除の活用:医師が発行する「おむつ使用証明書」があれば、リハパンの購入費用は医療費控除の対象となり、確定申告で税金が還付されます。
- 【ポイント】2年目以降の手続き簡略化:要介護認定を受けている場合、2年目以降は医師の証明書がなくても、お住まいの市区町村が発行する確認書で代用できる場合があります。
- 自治体の「紙おむつ給付」制度:多くの市区町村では、要件を満たす在宅介護世帯に対し、紙おむつを現物支給したり、購入費を助成したりする制度があります。要件は自治体によって大きく異なるため、「(市区町村名) おむつ給付」で検索するか、ケアマネジャーに確認しましょう。
【お得情報】ネットでリハビリパンツを購入
ネットで購入すると自宅まで届けてくれるので、店舗で購入する手間を省くことができます。Amazonプライム(有料会員)を利用すれば配送料無料、エリアと注文の時間帯によっては当日中に配送してくれます。定期おトク便を利用すると最大15%OFFで購入することができるので、併せて検討してみてください。
【各種メーカーのリハビリパンツ:Amazon商品リンク】
プロが教える、交換・廃棄の神ワザ
状況に合わせた交換テクニック
- 立って交換する場合:壁や手すりにつかまってもらい、片足ずつゆっくり通すのが基本です。
- 車いすで交換する場合:お尻を少しずつ左右に浮かせてもらい、その隙にパンツを腰まで下ろしていきます。
- 認知症で着脱に手間取る場合:「ズボンを履きましょうね」と次の動作を伝えたり、上下が分かりやすいように前に印をつけたりする工夫が有効です。
誰もが悩む「廃棄」と「におい」対策
- ゴミ出しのルール:おむつは基本的に可燃ごみですが、自治体によってルールが違う場合も。必ず確認してください。
- においを断つ便利グッズ:消臭袋(例:BOS)や、パッキン付きのおむつ用ゴミ箱の活用がおすすめです。
【SDGs】環境のために、私たちができること
大人用紙おむつの廃棄物量は、社会的な課題となっています。近年では環境負荷を減らすための新しい取り組みも始まっています。
- 再資源化の実証事業:ユニ・チャーム社と花王社などが協働し、使用済み紙おむつを回収・リサイクルする実証事業が全国各地で始まっています。
- 自治体の分別回収:一部の自治体では、紙おむつを一般ごみと分けて回収する取り組みも。お住まいの自治体の動向にも、ぜひ注目してみてください。
リハビリパンツ利用者の声
- 【成功談・ご本人】「もう一度、バスに乗ってデパートへ」
- Aさん(82歳・女性):漏れが怖くて、通院以外はほとんど家に引きこもっていました。長時間用のリハパンを試したところ、全く漏れず、自信がついて、先日、2年ぶりに一人でバスに乗ってデパートの催事に行くことができました。
- 【成功談・ご家族】「おむつ交換が、トイレ介助に変わった」
- Bさん(55歳・男性):寝たきりの父のおむつ交換は、毎日が戦いでした。リハパンとパッドの併用に切り替えてからは、父が自分でズボンを少し下ろすなど、協力してくれるように。「一緒に頑張っている」という気持ちになれたのが、精神的に一番大きいです。
- 【失敗談・介護士】「安さだけで選んでしまい、大失敗…」
- Cさん(30代・訪問介護士):ご家族から「費用を抑えたい」と相談され、安価なリハパンをお勧めしましたが、吸収量が少なく、すぐに横漏れ。ご本人はすっかり自信を喪失し、結局、洗濯や着替えの手間が増え、高くついてしまいました。価格だけでなく、本人に合った製品を選ぶことの重要性を痛感した経験です。
リハビリパンツに関するよくある質問(FAQ)
- Qリハパンへの切り替えタイミングは?
- A
「つかまり立ちができるようになった」「トイレでの排泄が成功することが増えてきた」などが、良い切り替えのサインです。
- Qリハパンと尿とりパッドは併用できますか?
- A
はい、可能です。日中はリハパン一枚で、夜間だけ吸収量の多いパッドを併用するなど、状況に合わせて使い分けることで、コストを抑え、交換の手間も省けます。
- Q夜間にリハパンから漏れてしまいます。何か対策はありますか?
- A
「夜用・長時間用」の製品を選び、「夜間用の尿とりパッド」と併用するのが最も効果的です。また、足回りのギャザーがしっかり立っているか確認しましょう。
まとめ
リハビリパンツは、単なる「おむつ」ではありません。 それは、ご本人の「もう一度、自分でトイレに行きたい」という気持ちを支え、失いかけた自信と尊厳を取り戻すための、最も優しく、最も力強いツールです。
この記事を参考に、ご本人に最適な一枚を見つけ出し、ご本人とご家族の毎日が、少しでも明るくなることを心から願っています。
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