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50代以上が紙パンツに求める「下着のような快適さ」
大人用紙パンツ(リハビリパンツを含む)は、主に一人で歩ける方や、介助があれば立ったり座ったりできる方に適した、はくタイプの紙おむつです。その見た目や形状は普通の下着とほぼ変わらない作りとなっており、近年、外出時だけでなく日常的にご利用される方が増加しています。
しかし、特に50代以上の利用者の多くが、従来の紙パンツに対して「ウエストの締め付け」や「ゴワつき感」といった物理的な不快感、さらには「オムツ」という名称への心理的な抵抗を感じてきました。この「装着時の心理的抵抗」は、排泄ケア用品の使用継続を妨げる大きな障壁の一つです。
現代の紙パンツメーカーは、単に「モレない」「吸収する」といった基本機能だけでなく、利用者の尊厳と快適な生活を支えるために、「下着のようなはき心地」と「簡便性(交換のしやすさ)」を最重要視した製品開発を進めています。
本記事では、この「下着のような快適さ」と「締め付けない履き心地」を実現する鍵となる「ラッパ状の履き口」と「伸縮性」が持つ、具体的な技術メカニズムについて、ターゲット層のペインポイントを解消する視点から詳しく解説します。
締め付けの原因解明:なぜ従来のパンツ型では苦しいのか
紙パンツが「窮屈」に感じられる背景には、製品構造と、加齢に伴う身体の変化が深く関わっています。
体型変化と座位姿勢による圧力増加
パンツタイプの大人用紙おむつを選ぶ際は、ウエストサイズを基準にするのが原則ですが、サイズが小さすぎると、履いている時に違和感が強くなるほか、お腹や股を締め付けて不快な状態を引き起こします。
また、年齢を重ねるにつれて体型が変化する方も多く、特に高齢者に多い座位姿勢をとると腹部が膨張しやすくなるため、従来のウエストゴムではその圧迫感が強く感じられてしまいます。ラッパ状でない履き口を持つパンツは、ウエスト部分がキュッと内側に閉じており窮屈に感じやすいという評価があります。
皮膚トラブルと摩擦リスク
高齢者の方の皮膚は、皮脂や汗の分泌が減少し、乾燥しやすくバリア機能が低下しています。また、皮膚が薄くなる(菲薄化)ため、わずかな摩擦や刺激でも傷つきやすくなっています。
サイズが合わないおむつは、皮膚との間に摩擦を生じさせやすくなります。この摩擦が炎症を起こし、おむつかぶれなどの皮膚トラブルのリスクを増大させるのです。紙おむつ使用者の7割がおむつかぶれを経験しているというアンケート調査の結果もあるため、締め付けがなく、肌に優しい素材で「ゴワゴワ感」がない製品を選ぶことが重要です。
【技術解説】お腹を締め付けない「ラッパ状の履き口」のメカニズム
ウエストの「締め付けない快適さ」は、最新の素材技術と構造設計によって、高いフィット感と両立されています。
圧力を分散する「ラッパ状の履き口」の構造

「ラッパ状の履き口」は、その形状によりウエスト全体に圧力を集中させず、緩やかにフィットする構造を持っています。履き口が外側に開いているため、お腹に緩やかにフィットすることで締め付けを感じにくいのが特徴です。
この設計により、着用したモニターからは「締めつけ感がなく、1日中履いていられる!」というプラスの声が挙がっています。また、サルバの「やわ楽パンツ」のように、高齢者の体型変化(背中が丸くなり、お腹が出てくる特徴)に合わせて胴回りギャザーのフィット感を細かく調整し、座った時のお腹の食い込みが気にならないよう、ゆったりフィットする設計のものもあります。
「超音波接合」が実現する柔軟性
ユニ・チャームの『ライフリー うす型軽快パンツ』では、ウエスト部分に“超音波接合”に関する特許技術を採用することで、さらに快適なはき心地を実現しました。
この技術は、ウエスト部分の糸ゴム接着を、従来の接着剤使用から“超音波接合”へと改良したものです。接着剤を使わないことで、不織布本来の柔らかさを損なわず、締め付け感を大幅に改善しました。これにより、より軽い力で紙パンツを引き上げ下げでき、スムーズな着脱が可能となります。
動きやすさとフィット感を両立する伸縮材
「ラッパ状の履き口」の機能性は、先進的で伸縮性の高い不織布に依存しています。
- 「ふんわりウエスト」
ユニ・チャームの特許技術で、伸縮糸を縦長の溶着部で挟み込む独自の構造により、お腹に合わせてやわらかくフィットし、締め付け感ゼロを目指しています。 - 伸縮性不織布
三井化学が世界で初めて開発に成功した伸縮特性のある不織布は、糸ゴムなどをほとんど使わず伸びるおむつを製造することを可能にし、穿かせるときの伸びやすさとフィット感を向上させました。 - 部位別フィット構造
サルバの「やわ楽パンツ」のように、パンツを支える腰や下腹部でぴったりフィットさせつつ、おなかとお尻をゆったりフィットさせることで、モレ防止と快適性の両立を図っています。
伸縮性がもたらす「履きやすさ」と自立支援効果
パンツ型おむつの高い伸縮性は、特に筋力や可動性が低下した方にとって、履きやすさに直結します。
軽い力でスムーズな着脱を実現するメカニズム
ラッパ状の履き口は伸縮性があるため、履き口を大きく広げられておむつを履きやすいという実用的なメリットがあります。
- 軽い力での上げ下げ
ユニ・チャームの特長「やわらかストレッチゾーン」など、ウエストバンドが軽い力で2倍に広がる設計が採用されており、ご本人でもスムーズな着脱を可能にします。 - 引っかかり防止
ユニ・チャームの「スルッとゾーン」といった特許技術は、おしりに引っかからないように働き、ウエストゴムの巻き込みを防止することで、着脱を助けます。 - 介助の負担軽減
介助者がはかせる場合でも、軽い力で上げ下げできるため、介護者の負担軽減につながったという声もあります。
自立支援と心理的抵抗の軽減
超うす型設計のパンツは、下着感覚で使え、服の上から目立ちにくいため、利用者の外出への抵抗感を軽減し、活動的な生活をサポートします。
パンツタイプは下着のように上げ下げできるため、ご本人の頑張る気持ち(リハビリ)を高める効果があります。また、花王リリーフの「上げ下げらくらくうす型パンツ」は、軽い力ではけてふらつきにくい設計が評価され、大人用おむつで唯一、日本ホームヘルパー協会の推奨品に認定されています。
快適な紙パンツを最大限に活かす選び方と併用術
モレと締め付けを防ぐための「適切なサイズ」選び
パンツタイプはウエストサイズを基準に選びます。ぴったり合うサイズを選ぶことがモレ防止に繋がります。
- 大きすぎると危険:
自分で履ける場合でも、大きめを選ぶと、おむつがずれたり尿漏れの原因になるためやめましょう。大きすぎると股に隙間ができやすくなり尿漏れをするリスクがあがります。 - 体型による調整:
おなかが出ていて足が細い体型の場合、ウエストサイズだけで選ぶと脚まわりにすきまができてモレに直結するため、おなかが苦しくなければ、脚まわりに合わせてサイズダウンすることが推奨されます。
快適性と経済性を両立する「パッド併用」の鉄則

パンツタイプのおむつ(アウター)と尿とりパッド(インナー)を併用することで、交換の負担軽減とおむつ代の節約につながります。パッドのみの交換で済むため、特に外出時の利便性が高まります。
- パッドの選択:
パンツタイプには、パンツタイプ専用の吸水パッドである「紙パンツ用パッド」を使用します。紙パンツ用パッドにはズレ止めテープが付いており、動いてもズレにくいのが特徴です。 - 正しい装着手順の確認(修正反映):
装着する際は、パッドのズレ止めテープを紙パンツに押しつけるだけで留めます。また、尿とりパッドを入れる際は、パンツの内側にある立体ギャザーをつぶさないように入れ、ギャザーの内側にしっかり収めることが重要です。パッドがギャザーの上に重なるとモレの原因になります。 - 注意点:
吸収量を増やそうとパッドを2枚重ねても、吸収量は2倍にはなりません。重ねると厚みが増し、スキマができかえってもれやすくなる場合があります。
精神的な快適性を支える機能
- 通気性:
ムレや皮膚トラブル(おむつかぶれ)を防ぐため、全面通気シートなど通気性の良い製品を選び、おむつ内をさらさらに保つことが大切です。 - 消臭機能:
尿のアンモニア臭などに対する消臭機能は、外出時の心理的な安心感に不可欠です。消臭+抗菌成分配合の製品であれば、においをうっすら感じる程度に抑えられることが判明しています。ただし、におい対策をしていても、皮膚トラブルを避けるため、尿や便が出たらできるだけすぐに替えるようにしましょう。
まとめ:締め付けを乗り越え、自立した快適な毎日へ
本記事では、大人用紙パンツに対する「ウエストの締め付け」という長年の課題が、いかに「ラッパ状の履き口」や伸縮性といった技術革新によって解決されつつあるかを解説しました。
最新の大人用紙パンツ(リハビリパンツ)は、単に排泄物を処理する機能だけでなく、利用者の尊厳と活動的なライフスタイルを支援することを目指して設計されています。
- 締め付けない構造の核心:
ラッパ状の履き口は、ウエスト全体に圧力を分散させ、長時間座っていても快適な履き心地を提供します。さらに、超音波接合技術の採用により、ウエスト部分の不織布本来の柔らかさが維持され、締め付け感が軽減されました。 - 履きやすさが自立を支える:
「やわらかストレッチゾーン」2倍に広げることを可能にし、ご自身での着脱や介助時の負担を大幅に軽減します。これは、利用者が「下着のようなはき心地」を感じ、積極的にトイレに行く意欲を保つことに繋がります。 - 快適性を追求するために:
快適な使用を続けるためには、ウエストサイズに基づきぴったり合うサイズを選ぶことが、モレ防止に繋がり重要です。また、パンツタイプにズレ止めテープ付きの専用パッドを併用することは、モレ防止の補助となり、交換頻度の減少、経済的負担の軽減に繋がる最も賢い利用法です。
これらの進化は、おむつに対する心理的な抵抗を減らし、「介護用品」という認識から「日々の生活を快適にするインナーウェア」へと、紙パンツの位置付けを変えつつあります。ぜひ、ご自身のライフスタイルと体型に合った製品を選び、締め付けから解放された快適な毎日を送るための一歩を踏み出してください。
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