「また警備か清掃か…」と嘆く60代へ:スマホ一つで始める仕事探し

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ハローワークの求人情報を見て、ため息をつく。「また警備か、清掃か…」。 体力には、まだ自信がある。でも、パソコンは苦手だし、自分よりずっと若い上司に指示されるのも、少し気まずい。まるで社会から「あなたの仕事はこれだけ」と値札を貼られているようで、寂しくなる…。

そのお気持ち、痛いほどわかります。しかし、諦めるのはあまりにも早すぎます。 実は今、スマートフォンのアプリ一つで、面接なし・履歴書なしで明日から働ける時代になっています。あなたの長い人生で培った趣味や経験が、そのままお金になるサービスも続々と生まれています。

この記事では、シニアの仕事探しの専門家として、従来の常識を覆す「新しい働き方の選択肢」と、具体的な始め方、そして誰もが抱える不安への対処法まで、徹底的に解説します。あなたの新しい一歩を力強く応援する、最新版の「働き方ガイド」です。

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「また警備か清掃か…」仕事探しが行き詰まる、本当の理由

ハローワークや求人サイトで「60代歓迎」と検索すると、決まって目にする警備、清掃、マンション管理の文字。もちろん、どれも社会を支える大切なお仕事です。しかし「まだ体も動くし、人と話すのも好き。できれば、楽しみながら働きたい」と考えている方にとって、選択肢がこれだけでは、少し寂しく感じますよね。

なぜ、同じような求人ばかりが目につくのでしょうか。実は、それにはいくつかの理由があります。

一つは、仕事を探す「場所」の問題です。長年親しんできたハローワークや紙の求人誌は、昔ながらの職種が多く掲載される傾向があります。一方で、趣味や経験を活かせるような新しい仕事は、企業のホームページやスマートフォンのアプリだけで、ひっそりと募集されていることが多いのです。

二つ目は、企業の「思い込み」です。「シニア世代はパソコンが苦手だろう」「新しいことは覚えないだろう」といった採用側の先入観が、知らず知らずのうちに、あなたに合うはずの仕事を遠ざけてしまっているケースも少なくありません。

そして三つ目は、あなた自身の「諦め」の気持ちかもしれません。「もうこの歳だし、選べる仕事なんてないだろう…」そう思ってしまうことで、自ら可能性の扉を閉じてしまっているとしたら、それはとても、もったいないことです。

でも、裏を返せば、これらの理由を知るだけで、仕事探しの視界は一気に開けます。探し方を少し変えるだけで、あなたの「人生経験」や「コミュニケーション力」を心から求めている、新しい仕事の世界が見えてくるのです。

働き方は「雇われる」だけじゃない!スマホで始める3つの新しいワークスタイル

ここが、この記事の最も重要なポイントです。今の時代、働き方は一つではありません。「会社に雇われる」という考え方から一度自由になって、ご自身の希望や体力に合わせて選べる、3つの新しいスタイルをご紹介します。

【スタイル1】好きな時だけ働く「スキマ時間ワーク」

「週3日」や「1日8時間」といった縛りなく、「明日、3時間だけ働きたい」が叶う働き方です。『タイミー』や『シェアフル』といった専用アプリに登録すれば、面接や履歴書は一切不要。働きたい仕事を見つけたら、ボタン一つで申し込みが完了します。

  • どんな仕事がある?:飲食店の簡単な調理補助やホールの仕事、倉庫での軽作業、スーパーの品出しなど。

こんな方におすすめ:「決まったシフトは負担だけど、体を動かして短時間だけ働きたい」「面倒な人間関係なく、サクッと収入を得たい」

【スタイル2】趣味や特技を売る「スキルシェア」

あなたの趣味や得意なことが、立派な商品になります。『ココナラ』や『ストアカ』といったサービスを使えば、自分で先生になったり、相談に乗ったり、作品を売ったりできます。

  • どんな仕事になる?
    • 教える:「盆栽の手入れ講座」「美味しい味噌汁の作り方教室」「初心者向けスマホ写真講座」
    • 相談に乗る:「子育ての悩み相談」「定年後の人生設計アドバイス」
    • 作る・代行する:「手芸品やアクセサリーの販売」「庭の草むしり代行」「お墓参り代行」
  • こんな方におすすめ:「好きなことを通じて、誰かと繋がりたい」「自分の経験を人の役に立てたい」「価格も働く時間も、全部自分で決めたい」

【スタイル3】在宅で経験を活かす「クラウドソーシング」

パソコンが少し使えるなら、家から一歩も出ずに働くことも可能です。『クラウドワークス』などのサイトには、全国の企業から様々な仕事が発注されています。

  • どんな仕事がある?:簡単なアンケート回答やデータ入力から、ご自身の職務経験を活かせる記事の監修、体験談の執筆、企業の電話応対代行まで多岐にわたります。
  • こんな方におすすめ:「通勤せずに、自宅でマイペースに働きたい」「これまでの事務や専門職の経験を少しでも活かしたい」

体力よりも「あなたの人柄」が活きる、新しい仕事5選(+探し方)

さまざまな探し方によって、多種多様な仕事に出会うことができます。その具体例を以下に示します。

  1. コミュニティバスの乗客サポーター → 自治体の広報誌や「シルバー人材センター」の募集で探せます。
  2. レンタル畑のアドバイザー → 「ストアカ」で自分の講座として募集したり、「ジモティー」で近所の方に向けて告知したりできます。
  3. ショートステイ型ペットシッター → 『anytimes(エニタイムズ)』のようなご近所スキルシェアアプリで、依頼を見つけることができます。
  4. スポット引越し「部屋の中だけ」お手伝い → 『タイミー』などのスキマ時間ワークや、便利屋さんの短期募集で見つかります。
  5. 学童クラブの見守りアシスタント → スキマ時間ワークのアプリや、地域の求人情報サイトで募集が増えています。

専門家が回答!シニアの仕事探し「よくある不安」解消Q&A

新しい働き方に挑戦する上で、誰もが感じる不安にお答えします。

Q
スマホやPCの操作が不安です。大丈夫でしょうか?
A

大丈夫です。まずは自治体の無料スマホ教室や、シルバー人材センターの講習会に参加してみましょう。また、お子さんやお孫さんに「このアプリだけ教えて」と頼るのも良い方法です。タイミーのようなスキマ時間ワークは、一度登録してしまえば、あとは簡単なボタン操作だけで完結します。

Q
若い人に混じって働くのは、少し気まずいです…。
A

その気持ち、よくわかります。しかし、企業側はむしろあなたの人生経験や落ち着いた対応力を求めています。無理に若者に合わせる必要はありません。また、タイミーのような単発の仕事なら、人間関係が固定されないので気楽です。同じシニア世代が多く活躍している職場を選ぶのも良いでしょう。

Q
年金が減らされたりしませんか?
A

とても大切な点ですね。パートやアルバイトの収入(給与所得)と厚生年金の合計額が一定の基準(2025年時点では月額50万円)を超えると、年金の一部が支給停止になる「在職老齢年金」という制度があります。しかし、月に数万円程度の収入であれば、ほとんどの方が影響ありません。また、個人で稼ぐ「スキルシェア」や「クラウドソーシング」の収入(事業所得・雑所得)は、この計算の対象外です。ご心配な場合は、お近くの年金事務所へ一度相談されると安心です。

「どうせ自分なんて…」から卒業!明日から始める具体的な第一歩

新しい世界に飛び込むのは、誰だって少し勇気がいるものです。でも、難しく考える必要はありません。ここでは、小さなゲームをクリアする感覚で、明日から試せる5つのステップをご紹介します。

ステップ1:【覗くだけOK】まずはアプリを1つ、入れてみましょう

百聞は一見に如かず。まずはご自身のスマートフォンに、この記事で紹介した『タイミー』や『ココナラ』といったアプリを一つ、試しにダウンロードしてみてください。 「どんな仕事があるのかな?」と、ただ眺めるだけで構いません。登録も無料です。新しいお店をウィンドウショッピングするような気軽な気持ちで、新しい働き方の世界を覗いてみましょう。

ステップ2:【宝探し】自分の「好き」や「得意」を書き出してみましょう

紙とペンを用意して、少しだけ自分と向き合う時間です。

  • これまで人から「ありがとう」と感謝されたこと
  • 時間を忘れて夢中になれる、あなたの趣味
  • 「こんなことで困っている人の力になれるかも」と思うこと を、思いつくままに書き出してみてください。大したことではないと思っている経験が、実は誰かにとっての「宝物」かもしれません。これが、あなただけの仕事を見つけるための、大切な宝の地図になります。

ステップ3:【お試し体験】1日だけの仕事に挑戦してみましょう

いきなり長期間の仕事を探す必要はありません。まずは「1日だけ」「3時間だけ」といった、単発の仕事から試してみるのが令和の働き方のコツです。 もし「合わないな」と感じたら、その一度きりで大丈夫。気楽な「お試し体験」のつもりで挑戦すれば、失敗を恐れる気持ちも軽くなるはずです。

ステップ4:【自己紹介】あなたの「物語」を、そっと添えてみましょう

アプリなどに登録する際、自己紹介欄を空白にするのはもったいない。「昭和〇〇年生まれ。〇〇の仕事を通じて、人と話すことの楽しさを知りました」といった、あなたの人柄が伝わる一文を添えてみてください。 誠実で温かいその一言が、他の誰にもない強力なアピールポイントとなり、あなたに「ぜひお願いしたい」という声を引き寄せます。

ステップ5:【一番大事】健康を「仕事の一部」と考えましょう

せっかく見つけた楽しい仕事も、体調を崩しては元も子もありません。「週に3日働くから、残りの4日はしっかり休んで散歩する」というように、休むこと、体を労わることも、大切な仕事の一部だと考えましょう。このメリハリが、結果として「継続的な収入」と「心豊かな毎日」の両方を実現させてくれます。

まとめ

警備や清掃だけが、シニアの仕事ではありません。 スマホ一つで、あなたの都合に合わせて働ける「スキマ時間ワーク」。趣味や経験がそのまま仕事になる「スキルシェア」。働き方の選択肢は、あなたが思っている以上に、豊かで、自由になっています。

大切なのは、「自分には無理だ」と決めつけずに、まずは「どんなものがあるか、ちょっと覗いてみる」という好奇心です。

この記事を読み終えたら、まずは一つ、気になるアプリを検索してみてください。 その小さなタップが、これからの人生をあなたらしく輝かせる、大きな大きな一歩になることを、心から願っています。