『Silver Growth Studio』では、介護を検討するご家族が自宅での介護環境を安心して整えられるよう、「家族も申請できる」公的支援制度を中心に情報を整理しました。従来の介護DX(見守りセンサー・介護ロボット・電子記録システム等)補助は事業者向けのみですが、ご自宅のバリアフリー化を支援する「住宅改修助成」と、地域包括支援センター等が提供する「機器貸与モデル事業」やケアプランへのICT組み込みといった間接的支援を活用すれば、個人名義でも介護DXの恩恵を受けられます。本ガイドでは、2025年に活用可能な制度を一覧化し、申請ポイントと全国自治体リンクをハブ形式でご紹介。まずは住宅改修から着手し、安全基盤を整えたうえで、ICTサービス導入へつなげましょう。
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支援制度の全体像
介護DXを「個人・ご家族の立場で」活用するには、以下の2軸が現実的です。
- 住宅改修系(直接申請可)
- 介護保険住宅改修費支給:要支援・要介護認定者の自宅を対象に、手すり設置・段差解消など6工事の工事費7~9割(上限18万円)を給付。ご本人またはご家族が市区町村窓口で申請可能。
- 自治体独自住宅改修助成:浴槽改修や階段昇降機設置など、介護保険外の付帯工事を助成。自治体ごとに補助率・上限が異なり、20~80万円程度の事例多数。
- サービス利用支援系(間接的DX導入)
- 機器貸与モデル事業:地域包括支援センター等が見守りセンサーやタブレットを無料または低額で貸与。初期費用ゼロで使い勝手を試せます。
- ケアプランICT組み込み:ケアマネジャーに要望すれば、介護記録電子化や遠隔見守りをプランに追加。事業者申請枠を間接的に利用できます。
2025年版:支援制度早見表
介護検討者のご家族が活用できる、2025年版の支援制度を一覧化しました。住宅改修助成を中心に、申請先も併せてご確認ください。
種類 | 制度名 | 対象者 | 補助率・上限額 | 申請窓口 |
住宅改修(保険給付) | 介護保険住宅改修費支給 | 要支援1~要介護5認定者 | 工事費の7~9割、上限18万円 | 市区町村 介護保険課 |
住宅改修(自治体助成) | 区市町村独自 住宅設備改修助成 | 65歳以上かつ要介護認定者 | 自治体により異なる(例:20~80万円) | 各区市町村 高齢福祉課 |
機器貸与モデル | 地域見守り機器貸与モデル事業 | 在宅要支援・要介護者とその家族 | 無料または月数千円程度 | 地域包括支援センター |
ケアプランICT化 | ICT記録サービス組み込み支援 | 要支援・要介護者のケアプラン利用者 | 介護保険サービス内で自己負担なし | ケアマネジャー/居宅介護支援事業所 |
家族でも申請しやすい!制度別解説
介護検討を始めたご家族が、自宅の安全性を高めるために活用しやすい「住宅改修助成金」制度を2つご紹介します。いずれもご本人またはご家族が申請可能です。これらの制度を組み合わせると、最大で100万円近い補助が受けられる場合もあります。まずはお住まいの市区町村窓口で要件を確認し、申請書類を揃えて安全な住環境整備にお役立てください。
介護保険住宅改修費支給
- 対象:要支援1~要介護5の認定を受けた在宅利用者
- 補助内容:手すり設置、段差解消、床材変更、引き戸化、洋式便器設置など6項目の工事費用を7~9割給付(自己負担1~3割)、上限18万円 令和5年_介護助成金・補助金
- 申請先:市区町村の介護保険課窓口
- 手続きの流れ:
- 事前にケアマネジャーや工務店と工事内容を相談し、見積書を取得
- 市区町村に「住宅改修費支給申請書」を提出(見積書・認定証コピー添付)
- 許可後に工事を実施し、完了後に領収書を提出すると給付金が支給
自治体独自の住宅設備改修助成
- 対象:65歳以上かつ要支援・要介護認定を受けた方(区市町村によっては要件変動)
- 補助内容:介護保険外工事(浴槽取替、階段昇降機、手すり追加設置等)を助成。助成率・上限額は自治体ごとに異なり、20万円~80万円程度が多い。
- 申請先:各区市町村の高齢福祉課(自治体HPで「住宅改修助成」や「バリアフリー助成」を検索)
- 申請のポイント:
- 公募要領で「助成対象工事」「補助率」「上限額」を必ず確認
- 工事前に事前相談が必須の自治体があるため、早めに窓口へ連絡
- 工事完了後の報告書(施工写真・領収書)提出で助成金交付
申請の流れと注意点

介護保険の住宅改修助成を円滑に進めるための手順と、よくある注意点を解説します。これらのポイントを押さえ、ご家族でスムーズに住宅改修助成を活用し、安全で快適な在宅介護環境を整えましょう。
事前準備
- ケアマネジャーへの相談
要支援・要介護認定を受けているか確認し、ケアマネジャーと改修内容(手すり設置・段差解消など)を協議。 - 見積書の取得
工務店や福祉用具事業者に改修箇所の見積を依頼し、複数社から相見積もりを取ると安心。 - 必要書類のチェック
- 介護認定証のコピー
- 見積書
- 本人確認書類(マイナンバーカード等)
- 施工前写真(自治体によって要)
申請手続き
- 申請書の提出
市区町村の介護保険課窓口で「住宅改修費支給申請書」を入手・記入し、必要書類と併せて提出。オンライン対応の自治体も増加中。 - 審査・許可
申請後、審査に1~3週間程度。可否の通知が届いたら、必ず許可書を受け取る。 - 工事の実施
許可を得た内容外で工事を始めると助成対象外になるため、許可前の着工は厳禁。 - 完了報告
工事完了後、領収書・完了写真を添えて市区町村へ「完了報告書」を提出。報告後、給付金額の7~9割(上限18万円)が支給されます。
注意点と対策
- 申請前着手の禁止
許可前に工事を始めると全額自己負担に。必ず「許可通知」を確認してから施工を依頼。 - 書類不備による却下
提出書類は公募要領に沿って揃える。複写漏れ、押印漏れ、写真不足に注意。チェックリストの活用を。 - 提出期限の遵守
多くの自治体では「工事完了から30日以内」など期限が設定。スケジュールを逆算して早めに申請・報告を。 - 予算枠の枯渇
年度予算に上限があるため、年度の早いタイミングで申請すると安心。公募開始直後の申請が望ましい。 - 追加工事・仕様変更
当初申請分以外の工事を追加する場合は、改めて申請変更手続きを。変更せずに工事を進めると助成対象外となる。
自治体別リンク集(全国対応)
以下は、全国47都道府県の「住宅改修助成」を案内する福祉・介護情報のトップページURL一覧です。サイト内検索で見つからない場合は、以下方法に沿ってメニューやグローバルサイト検索機能をご利用ください。
リンク一覧
自治体ページの検索方法について
- サイト内グローバル検索を活用
- 各ページ上部の検索ボックスから「住宅改修助成」または「バリアフリー助成」で検索。
- メニューから辿る
- トップメニュー → 「福祉・保健」→「高齢者福祉」→「介護保険サービス」→「住宅改修」の順にクリック。
- 電話・窓口で直接確認
- ページに案内が見つからない場合は、各自治体サイトに掲載の「福祉保健部(高齢福祉課)」の電話番号へ問い合わせ。
- 全国共通リストも併用
- 厚生労働省PDF「介護機器導入助成制度一覧」の都道府県別該当ページを検索。
Q&Aコーナー
Q1. 申請手続きは家族だけでできますか?
A. はい。住宅改修費支給は、ご本人またはご家族が窓口で申請書を提出できます。ケアマネジャーに代行を依頼することも可能です。
Q2. 申請期限はいつまでですか?
A. 多くの自治体では「工事完了から30日以内」に完了報告書を提出する必要があります。また年度予算枠があるため、年度初め(4月)〜年度末(3月)までに申請・工事完了を行うのが安心です。
Q3. 住宅改修助成は他の制度と併用できますか?
A. 介護保険住宅改修費(上限18万円)と、自治体独自の住宅設備改修助成(例:20〜80万円)は併用可能です。事前に各自治体の公募要領で併用条件を確認してください。
Q4. 必要書類には何が含まれますか?
A. 主な書類は以下の通りです。
- 住宅改修費支給申請書
- 介護認定証コピー
- 工事見積書(複数社相見積もり推奨)
- 本人確認書類(マイナンバーカード等)
- 完了報告書(施工写真・領収書)
Q5. 申請窓口はどこですか?
A. 住宅改修費支給は市区町村の介護保険課、自治体独自助成は各区市町村の高齢福祉課または福祉保健部が窓口です。申請前に電話やWEBで要件を確認しましょう。
Q6. 自治体の情報が見つからない場合は?
A. 各自治体の「福祉・介護」トップページに掲載がない場合は、以下の方法で探してください。
- ページ上部の検索ボックスで「住宅改修助成」「バリアフリー助成」をキーワード検索
- メニューから「福祉・保健」→「高齢者福祉」→「介護保険サービス」→「住宅改修」を順に辿る
- 見つからない場合は、自治体サイト掲載の「高齢福祉課」へ電話問い合わせ
Q7. 住宅改修助成を受けると自己負担はいくらになりますか?
A. 工事費が100万円の場合、給付率7〜9割のため、自己負担は10〜30万円です(自己負担率は認定区分による)。
まとめ
自宅の手すり設置や段差解消など、まずは「住宅改修助成金」を知ることがスタートです。次に、市区町村介護保険課や高齢福祉課の公募要領を集めて、必要書類と公募期限を整理します。最後に、許可通知を得てから工事着手・完了報告を行うことで、工事費の7~9割(上限18万円)を確実に受給できます。住宅改修と自治体助成を併用し、安全な住環境を整えつつ、地域のモデル事業やケアプランICT化で間接的に介護DXも導入しましょう。
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