毎日の介護、本当にお疲れ様です。
特におむつ交換は、愛情を込めてケアしていても、オムツ漏れが起きてしまうと心身ともにどっと疲れてしまいますよね。「またシーツを替えなくちゃ…」「私の当て方が悪いのかな…」と、ご自身を責めてしまってはいませんか?
そのお悩み、あなたのせいではありません。実は、オムツ漏れにははっきりとした原因があり、それを解決する正しい方法が存在するのです。
この記事を最後まで読めば、なぜオムツが漏れるのかという根本原因から、明日からすぐに実践できる男女別の正しい当て方、そして細かい疑問まで、すべてが解決します。オムツ漏れの不安から解放され、自信を持ってケアできるようになるための、具体的な方法をご紹介します。
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なぜ?を解決!オムツが漏れる共通の5大原因
当て方を工夫する前に、まずは漏れの根本原因を知ることが一番の近道です。ご自身の状況で当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。
原因1:サイズが合っていない
大きすぎると動いた時に隙間ができますし、小さすぎると体を締め付けてしまい、これもまた隙間やヨレの原因になります。まずはご本人のウエストとヒップのサイズを測り、パッケージのサイズ表をしっかり確認することが基本です。【ここに300×300px程度の採寸イラストを挿入】 イラストの内容: 人の体の線画に矢印を示す。
- ウエスト:おへその高さに水平の矢印。「ウエスト」とテキスト表示。
- ヒップ:お尻の一番出っ張っている部分に水平の矢印。「ヒップ」とテキスト表示。
【体型別ワンポイント】痩せている方は一つ小さいサイズを、むくみがちな方は少し大きめを試すなど微調整も有効です。
原因2:尿量と吸収量がミスマッチ
日中と夜間では尿の量が違います。また、水分を多く摂った日など、体調によっても変化します。使用している尿取りパッドの吸収量が尿量に追いついていないと、当然溢れてしまいます。「夜間だけ漏れる」という場合は、吸収量のミスマッチが原因かもしれません。
【体型別ワンポイント】体格の大きい方は、パッド自体も幅広や長めのものを選ぶと、カバーできる範囲が広がり安心感が増します。
原因3. 立体ギャザーが寝てしまっている
オムツやパッドの内側にあるヒダ「立体ギャザー」は、尿の横漏れを防ぐ最後の砦です。これがしっかり立たずに内側に倒れたままだと、防波堤の役割を果たせず、あっさり漏れてしまいます。
【体型別ワンポイント】お腹が出ている方は、オムツの前側がめくれやすくギャザーが倒れがちです。テープを止めた後に必ず確認しましょう。
原因4:体に隙間ができている
特に痩せている方の場合、背中(腰骨の上あたり)や、足の付け根(鼠径部)に隙間ができやすくなります。ご本人が寝返りをうったり動いたりした際に、その隙間から尿が伝って漏れてしまうのです。
【体型別ワンポイント】特に痩せている方の背中の隙間には、薄手のタオルを細く丸めて挟み込むと、隙間が埋まって伝い漏れを防げます。
原因5:男女の体の違いを意識していない
男性と女性では、尿の出口の位置や尿の飛び方が全く違います。そのため、それぞれに適した当て方をしないと、効果的に吸収させることができません。この男女差こそ、オムツ漏れ解決の大きな鍵となります。
【男性編】当て方の失敗ポイントと全手順|これでオムツ漏れを防ぐ!
ここでは、男性特有の「失敗しやすいポイント」に絞って、漏れない当て方のコツを解説します。
【NG】男性の当て方で失敗しやすい2大ポイント
- ペニスの向きが定まっていない:ペニスが上や横を向いたままオムツを当ててしまう。
- 陰嚢(いんのう)周りの隙間:体を動かした際に、陰嚢の脇にできたわずかな隙間から尿が伝い漏れてしまう。
【対策】これを守れば漏れない!男性の当て方4ステップ
【ステップ1】

準備と清拭 新しいオムツと尿取りパッド、おしりふき等を準備します。古いオムツを外し、お肌を清潔にしましょう。
【安全のための重要チェック】
この時、おしりや腰に赤みやただれがないか必ず確認しましょう。もし赤みが数日続いたり、皮膚がむけたりしている場合は、褥瘡(じょくそう)の初期症状かもしれません。ご自身で判断せず、かかりつけ医や訪問看護師にすぐに相談してください。
【ステップ2】尿取りパッドのセット【最重要ポイント】
ペニスを必ず下向きに固定し、尿取りパッドで根元から優しく包み込みます。 このとき、陰嚢まですっぽりと覆うように意識してください。
【ステップ3】オムツをあてる

体の中心にオムツの吸収体がくるように合わせ、鼠径部(足の付け根)に沿わせるようにオムツを引き上げます。
【ステップ4】テープ止めと最終チェック

テープタイプのオムツの場合、下のテープを「ハの字」に、上のテープを水平に止めるとフィットします。
最後に、以下のリストで最終確認をしましょう。
【男性向け:漏れない最終チェックリスト】
- ペニスは下向き?
- ギャザーは立ってる?
- 足の付け根に隙間ない?
- 背中(腰)に隙間ない?
- テープは指2本入る?
【女性編】当て方の失敗ポイントと全手順|伝い漏れ対策はコレ!
女性の場合、特に注意したい「伝い漏れ」を防ぐ方法を中心に、失敗しやすいポイントを解説します。
【NG】女性の当て方で失敗しやすい2大ポイント
- パッドと体の間に隙間がある:パッドを蛇腹に二つ折りにして当てると、中央に溝ができてしまい、尿が吸収されずにその溝を伝って流れ出てしまいます。
- お尻への「伝い漏れ」:仰向けで寝ている時に、尿がお尻の谷間を伝って背中側へと流れてしまい、背中からのオムツ漏れを引き起こします。
【対策】安心感が違う!女性の当て方4ステップ
【ステップ1】準備と清拭
安全のための重要チェックは男性と同様です。交換のたびにお肌の状態を確認する習慣をつけましょう。
【ステップ2】尿取りパッドのセット【最重要ポイント】
パッドをしっかり広げて舟形にし、尿道口にぴったり密着させます。お尻側は仙骨(せんこつ)までカバーできる長めのパッドを選びましょう。
※「仙骨」は、お尻の割れ目の上にある平らな骨の部分です。体の部位は、厚生労働省のウェブサイトなどで公開されている図解なども参考にすると、より正確に位置を把握できます。
【ステップ3】オムツをあてる
おへその下あたりまでしっかりと深めにオムツを引き上げ、体にフィットさせます。
【ステップ4】テープ止めと最終チェック
最後に、以下のリストで最終確認をしましょう。
【女性向け:漏れない最終チェックリスト】
- パッドは体に密着?
- ギャザーは立ってる?
- 足の付け根に隙間ない?
- 【重要】背中に隙間ない?
- テープは指2本入る?
【製品選びの決定版】もう迷わない!吸収量の目安とおすすめシリーズ
基本的な当て方をマスターしても漏れてしまう…。その場合は、製品が合っていないのかもしれません。ここで製品選びの具体的なコツをお伝えします。
応用テク:パッドの重ね方、正しい方法とNG例
パッドの2枚重ねは基本的に非推奨ですが、どうしてもという場合は以下の方法を守ってください。
- 【OKな重ね方】
- 肌側(下):防水フィルムのない吸収体だけの補助パッド
- オムツ側(上):通常の尿取りパッド
- 【NGな重ね方】
- 防水フィルム付きのパッドの上に、さらにパッドを重ねる。(尿が下のパッドに届かず、全く意味がありません)
尿量で選ぶ!吸収量の目安
パッドのパッケージには「おしっこ〇回分」と書かれていますが、メーカー基準の1回分(約150ml)と実際の尿量は異なります。以下の表を目安に選んでみてください。
シーン | 尿量(おしっこ約○回分) | 吸収量の目安(ml) |
---|---|---|
日中・こまめに交換 | 2~3回分 | 300~500 ml |
長時間・外出時 | 4~5回分 | 600~800 ml |
夜間・一晩中 | 6回分以上 | 1000 ml以上 |
店頭で迷わない!代表的なブランド・シリーズ例
※これは特定の製品を推奨するものではなく、あくまで2025年7月時点での製品選びの参考例です。
- ユニ・チャーム「ライフリー」:業界最大手で種類が豊富。特に「一晩中あんしん」シリーズは吸収量が多く夜間に定評があります。
- 大王製紙「アテント」:肌触りの良さを追求した製品が多いのが特徴。「夜1枚安心パッド」は伝い漏れを防ぐ工夫がされています。
- リブドゥコーポレーション「リリーフ」:病院や施設での使用実績が豊富。「高吸収パッド ハイパーシリーズ」は吸収スピードが速く、尿量が多い方でも安心感があります。
かゆい所に手が届く!おむつ交換お悩みQ&A
本編で触れきれなかった、よくある質問にお答えします。
交換の手順・頻度について
- Q尿量を正確に測る方法はありますか?
- A
キッチンスケールなどで、交換前の新しいオムツの重さと、使用後のオムツの重さを測り、その差を見るのが最も正確です(1g≒1mlと換算)。2~3日間試して平均的な尿量を把握するだけでも、パッド選びの大きな参考になります。
- Qパンツタイプとテープタイプ、どちらが良い?
- A
ご本人の状態によります。
- 【テープタイプ】は、寝て過ごす時間が長い方、介助者が主体で交換する方向けです。
- 【パンツタイプ】はご自身でトイレに行ける方、立ったり座ったりできる方向けです。
衛生・臭いについて
- Q使用済みパッドやオムツの臭い、どうにかなりませんか?
- A
- 専用の防臭袋や防臭機能付きのゴミ箱を利用する。
- 便がついている場合は、できるだけ取り除いてから小さく丸める。
- 重曹や乾燥させたコーヒーかすをゴミ箱の底に少量入れておく、などの対策が有効です。
コミュニケーション・メンタルについて
- Q本人がオムツ交換を嫌がる時はどうすればいいですか?
- A
まずはご本人の「嫌だ」という気持ちを受け止めることが大切です。「スッキリしますからね」など、交換することで得られる快適さを優しく伝えてみましょう。また、交換中にバスタオルでお腹や足を隠すなど、羞恥心に配慮することも非常に重要です。無理強いせず、時間を変えたり、訪問介護のヘルパーさんなど第三者に頼ったりするのも一つの手です。
まとめ
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。 オムツ漏れを防ぐ鍵は、
- サイズや体型に合わせた「原因」を理解すること
- 男女別の正しい「当て方」と「最終チェック」を実践すること
- 尿量やシーンに合わせた「製品」を具体的に選ぶこと
この3つです。
完璧を目指さなくて大丈夫です。まずは明日、「パッドの当て方だけ」「最後のチェックリストだけ」でも構いませんので、一つ試してみてください。その小さな一歩が、あなたと、介護される大切なご家族の毎日を、確実に楽にしてくれます。
そして、どうか一人で抱え込まないでください。介護の悩みは、専門家に頼ることで、もっと軽くなります。
- お住まいの市区町村にある「地域包括支援センター」では、介護に関するあらゆる相談が無料でできます。お探しの際は、お住まいの「市区町村名 地域包括支援センター」で検索してみてください。厚生労働省の公式サイトにも全国の窓口一覧があります。
- ドラッグストアや介護用品専門店の専門相談員に、ご本人の体型や状況を伝えて製品選びを手伝ってもらうのも、非常に有効な手段です。
この記事が、あなたの負担を少しでも軽くする手助けとなれば、心から幸いです。
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