動いても食い込まない!股の締め付けを解消する「短いギャザー」の秘密

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Silver Growth Studioは、活動的なセカンドライフを応援するメディアとして、大人用紙パンツの使用者が抱える「不快感」という目に見えないストレスに注目していました。

特に50歳以上の皆様から多く聞かれるのが、紙パンツを装着した際の「股の付け根(鼠径部)への食い込み」や「ゴワゴワとした違和感」によるストレスです。従来の紙パンツは、尿漏れを防ぐ「機能性」を最優先して設計されてきたため、結果的に脚の付け根部分のギャザーが長く、強く締め付ける構造になりがちでした。

この締め付けこそが、座る、立つ、歩くといった日常の動作の中で皮膚の柔らかい部分に継続的な圧迫や摩擦を引き起こし、紙パンツを使うことへの大きな心理的抵抗を生み出しています。

しかし、近年、この長年の悩みを「構造設計」の革新によって根本から解決しようとする動きが進んでいます。この記事では、「食い込み」ストレスを劇的に解消する「短いギャザー」や「ラッパ状の履き口」といった最新技術の秘密を、具体的な製品の比較を通じて詳しく解説します。

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締め付けゼロを実現する「構造設計」の科学

股の食い込みや締め付けによるストレスは、単に「肌触りの良い素材」を使うだけでは解消できません。体の動きと製品の形状が原因で起こる、構造的な問題だからです。この構造的な問題を解決するために生まれたのが、人間工学に基づいた二つの革新的な設計です。

股の食い込みを防ぐ決定的な構造:「短いギャザー」

食い込みが発生するメカニズムは、ギャザーの伸縮部分が鼠径部の溝の奥深くに入り込んでしまうことにあります。

「短いギャザー」必要最小限の長さに集中させる点にあります。これにより、ギャザーが敏感な溝の奥まで入り込むことを物理的に防ぎ、圧迫や摩擦が生じる面積を大幅に減少させます。

大人用紙おむつの履き心地の検証では、運動習慣のない50歳以上の男女モニターが、「お腹や股に締めつけを感じにくいうえ、お尻が擦れにくい」と評価することが重要な基準とされています。この「短いギャザー」設計を持つ製品は、モニターから「締めつけ感がなく、1日中履いていられる!」という極めて肯定的な評価を得ています。

圧迫感を和らげる「ラッパ状の履き口」

ウエストやお腹周りの締め付けは、装着時の不快感のもう一つの大きな原因です。

「ラッパ状の履き口」は、履き口が身体にぴったり密着せず、外側に向かってわずかに開くような設計を指します。この構造により、脚を動かした際に製品の縁が皮膚に食い込んだり擦れたりするのを防ぎ、圧力が一点に集中することなく分散されます。

また、「ラッパ状の履き口」は伸縮性が高いため、履き口を大きく広げることができ、筋力の低下や膝の痛みなどで足を通しにくい方でもスムーズに履きやすいというメリットもあります。

快適性追求:ユニ・チャーム「ライフリー」の技術分析

「短いギャザー」と「ラッパ状の履き口」という快適設計のコンセプトを、特に追求しているブランドがユニ・チャームの「ライフリー」です。ライフリーは、これらの構造的快適性を、複数の特許技術で体系的に支えています。

「うす型軽快パンツ」が実現する「下着感覚」

ライフリーの「うす型軽快パンツ」は、「ラッパ状の履き口と短いギャザー」という設計コンセプトを採用しており、履き心地のよさについて高い評価を受けています。実際の利用者の声でも、その快適性が強く裏付けられています。

  • 「薄くて肌触りが大変良くて、普通の下着とほとんど変わらないような履き心地だった」。
  • 「薄くて下着みたいで、おなかも苦しくなく、フィットして肌ざわりもすごく良かった」。
  • 「股のごわつきもありませんし、肌にフィットしていました」。

これらの声は、ライフリーの製品が「おむつ」という心理的抵抗の大きいカテゴリーから脱却し、「高機能な下着」という新しい認識をユーザーに与えていることを示唆しています。また、「ゴワゴワ感が無く、下着のように使えた」というレビューもあり、ターゲット層が懸念する不快感が軽減されていることが分かります。

履き心地を支える特許技術群

ライフリーの快適性は、股の食い込みを防ぐ設計だけでなく、着用プロセス全体を楽にする複数の技術によって実現されています。

  1. 着脱時のストレスを軽減する技術
    • 「スルッとゾーン」
      おしりに引っかからない特許技術で、ウエストゴムが丸まるのを防ぎ、軽い力で上げ下げが可能です。
    • 「やわらかストレッチゾーン」
      「ライフリー リハビリパンツ」などに採用され、軽い力で約2倍に広がるため、着脱時の負担を大幅に軽減します。
    • 「足入れスムーズ!すっきり形状」
      特許技術により、足を通す際の引っかかりを防ぎます。
  2. 圧迫感を徹底的に排除する技術
    • 「おなか周りゴム0設計」
      ウエスト部分にゴムを使用せず、伸縮性のある不織布を搭載することで、おなか周りへの締め付けを抑え、圧迫感を軽減します(「ライフリー 下着の感覚Premium 極上のはき心地」)。
    • 「股下のびのびストレッチ」
      股下部分に伸縮素材を採用し、身体の動きに合わせてフィットすることで、もたつきを減らし、動きやすさを向上させています。
  3. 肌への優しさを追求した素材

快適性への別アプローチ:白十字「サルバ」の評価と課題

ライフリーと並ぶ主要なブランドである白十字の「サルバ」は、「やわ楽」というコンセプトを掲げ、快適性への異なるアプローチを試みています。

サルバの強み:「やわ楽」な肌触りと腹部の解放感

サルバのパンツタイプ(「やわ楽パンツ」シリーズ)は、その名の通り「柔らかさ」と「楽な使用感」に重点を置いています。

  • 柔らかさと履きやすさ
    多くのユーザーがこの商品の柔らかさや伸びの良さを高く評価しており、「はかせやすい」「かぶれにくい」という声が多く聞かれます。
  • 腹部の快適性
    サルバの製品は、高齢者の体型変化(背中の丸み、お腹の出っ張り)に合わせてフィットするように設計されています。モニターからは「ゴムもキツくなく食い込むこともなくお腹周りが楽」という声があり、腹部の快適性は高く評価されています。座った時のお腹の食い込みが気にならないよう、ゆったりフィットする設計です。

サルバは、素材の柔らかさやウエスト周りの優しいフィット感に強みを持つと言えます。

「食い込み防止」の観点から見た懸念点

サルバが提供する全般的な快適性には一定の評価がありますが、本記事の核となる「股の食い込み」という問題に焦点を当てると、客観的な検証結果に基づき、注意すべき点が存在します。

マイベストが行った大人用紙おむつの検証結果によると、「サルバ やわ楽パンツ 安心うす型」は、「股まわりのギャザーが長めで食い込みやすい」という点が「気になる点」として明確に指摘されています。

これは、第1章で解説した「短いギャザー」設計が食い込みを解消するという理論と対立する構造的な特徴を示唆しており、股の締め付けに特に敏感なターゲット層にとっては、使用上のリスクとなり得ます。

したがって、サルバの製品はウエストのゆったり感や素材の柔らかさを最優先する方には適していますが、股の付け根の構造的な締め付け解消を確実性を求めている方にとっては、その設計に懸念が残る点に留意が必要です。

その他の快適性への取り組みと製品選びの重要点

主要ブランド以外にも、快適性を追求する様々なアプローチが存在します。また、どんなに高性能な製品でも、選び方や使い方を間違えると不快感につながるため、重要なポイントを押さえておく必要があります。

その他のブランドの快適性への注力

  • 花王「リリーフ」:「下着のような履き心地」と目立ちにくさ
    花王の「リリーフ まるで下着」は、履き心地の検証において「限りなく下着に近い履き心地が感じられた」という声が多く、履き心地のよさのスコアが最高評価を獲得しています。この製品も「ラッパ状の履き口と短いギャザー」設計を備えており、なため、見た目の目立ちにくさも高い評価です。ただし、吸水量がパッケージ記載の300mLを下回る140mLであり、吸水性が期待できない点には注意が必要です。
  • 大王製紙「アテント」:「すっきり」と色合いへの配慮
    大王製紙の「アテント」は、見た目の「すっきり感」や「ごわごわしない」使用感を重視しています。特に「アテント うす型パンツ下着気分エレガントピンクベージュ」は、白以外の色合いを採用することで、「下着に近い感じがしてとっても良い」「紙パンツに抵抗がある方にも、おすすめ」と、心理的抵抗を減らす工夫がされています。

また、「アテント うす型さらさらパンツ通気性プラス」はラッパ状ではない履き口であるものの、短いギャザーを採用しているため、モニターから「ストレッチをしても股に食い込みを感じなかった」というプラスの声も挙がっています。

快適性を維持するための製品選びの3原則

最新の技術によって食い込みにくい製品を選んでも、以下の基本的なポイントを疎かにすると不快感につながります。

  1. ぴったりサイズを選ぶことが絶対条件
    パンツタイプの紙おむつを選ぶ際は、ウエストサイズを参考に、身体にぴったり合うサイズを選ぶことが大切です。
    • 大きすぎる場合:股に隙間ができ、尿漏れのリスクが上がります。また、失禁後におむつの重みでずれ落ちる可能性があり、不快感の原因になります。
    • 小さすぎる場合:おむつが股にフィットせず尿漏れの原因になるほか、お腹や股に締めつけを感じやすく、食い込みによる不快感を覚えます。
  2. 尿とりパッドの賢い併用
    尿漏れの量が多い方は、パンツタイプの中に尿とりパッドを併用することが強く推奨されます。尿とりパッド(インナー)を併用することで、おむつ(アウター)自体の交換頻度を減らせるため、経済的負担を抑えることができます。また、パッドをこまめに交換することで、衛生的に使用でき、皮膚トラブルの予防にもつながります。最近では、身体に密着し動きやすく、パッドのもたつき(ゴワつき)を軽減する「しなやかフィット設計」を搭載した紙パンツ専用パッド(ライフリー ズレずに安心 うす型紙パンツ専用尿とりパッド)も開発されています。
  3. 失禁後の肌トラブル(かぶれ)対策
    「食い込み」と並んで快適性を損なうのが「おむつかぶれ」です。おむつ使用者の約7割が、かぶれを経験していることが判明しています。
    • 即時交換の推奨:排泄物が皮膚を刺激するため、皮膚トラブルを避けるためには、尿や便が出たらできるだけすぐに替えることが強く推奨されています。
    • 逆戻りのしにくさ:吸水後に尿が表面に戻ってこない(逆戻りしにくい)製品は、お尻のベタつきやムレが気になりにくく、快適に過ごせる傾向にあります。
    • 抗菌・消臭成分:におい対策としては、消臭成分に加え抗菌成分が配合されているものを選ぶと、雑菌の増殖を抑え、においが強まることを防げます。

まとめ

大人用紙パンツは、「漏れを防ぐ」という最低限の機能を超え、「いかに利用者が快適に、自分らしく動けるか」という人間中心の設計へと進化しています。

50歳以上の皆様が抱える「股の食い込み」というデリケートな悩みは、「短いギャザー」と「ラッパ状の履き口」身体的・心理的なストレスを大きく軽減する鍵となります。

製品を選ぶ際は、単に「薄さ」や「価格」だけでなく、「股の食い込みを防ぐ構造(短いギャザー、ラッパ状の履き口の有無)」や、「下着のような感覚で着用できるか」という点を重視することで、活動的な毎日を、より快適に、自信を持って送ることができるでしょう。

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