尿もれ対策にナプキンは危険!肌荒れ・感染症を防ぐ吸水パッド

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「くしゃみをしたら、尿漏れしてしまった」「産後から、なんとなく不安がある」。 こんなとき、多くの女性は手元にある生理用ナプキンやおりものシートで代用しがちです。しかし、専門家は、尿もれ対策に生理用品を代用するのは危険だと警告しています。

なぜなら、尿と経血は性質が全く異なり、生理用ナプキンでは、尿特有のトラブルである肌荒れや感染症、ニオイを防ぐことができないからです。

この記事は、「産後の尿漏れ」や「軽失禁を始めたばかり」でナプキンを代用している方が、なぜ専用パッドに切り替えるべきか、そして自分に合った吸水パッドの選び方、さらに進んだケア用品(大人用おむつ)へのステップアップについて詳しく解説します。

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一人で悩まないで!尿もれは誰にでも起こる身近な悩み

尿漏れ(尿失禁)産後の女性にとって、尿漏れは身近なトラブルの一つです。

女性の約6割が「誰にでも起こりうる症状」だと捉えているものの、実際は尿もれを経験した女性の6割近く(57.6%)が誰にも相談していないのが現状です。軽失禁を経験した30~40代のママの調査でも、約7割が「誰にも相談しなかった」と回答しています。
参考:P&G調査(20代 以上の2人に1人以上 が、UI(尿もれ)を経験)

この「恥ずかしい」「年をとった気分になる」という心理的な抵抗 から、多くの女性が、物理的な形状が似ている生理用ナプキンやおりものシートを代用して対処してしまいます。

しかし、この直感的な代用は、健康面で大きなリスクを伴います。

生理用ナプキンでの代用はNG!健康を脅かす3大リスク

生理用ナプキンやおりもの専用シートで尿もれ対策を行うのはNGです。その理由は、経血と尿の性質の違いにあります。

経血と尿は「粘度」「吸収速度」が全く違う

生理用ナプキンと吸水パッドは、吸収すべき液体の成分や粘度が根本的に違うため、構造や設計が異なります。

  1. 生理用ナプキン
    粘度が高い経血がゆっくりと排出されることを想定し、経血をデリケートゾーンに沿って広がりすぎないように吸収する設計です。
  2. 吸水パッド(尿ケア専用品)
    尿のようにサラサラした液体が瞬時に出ることを想定し、素早く吸収するための性能(高吸収ポリマーなど)を持っています。

生理用ナプキンで尿を吸収しようとすると、粘度の低い尿を瞬時に吸収しきれず、横もれや逆戻りを起こすおそれがあります。

ナプキン代用による健康上の「危険」:肌荒れ・感染症のリスク

生理用ナプキンで尿もれ対策をすると、ムレや皮膚刺激による肌トラブル(かぶれや湿疹)、そして尿路感染症のリスクが高まります。

  • 肌荒れ(湿疹)
    生理用ナプキンは尿のような水分の吸収を苦手とするため、パッドの表面が常に湿った状態となり、肌に尿が触れ続けます。これがムレやかぶれ、湿疹(皮膚炎)の原因となります。
  • 尿路感染症
    湿度や温度が上がった状態で雑菌が繁殖しやすくなり、長時間の湿潤や皮膚pH変化により皮膚障害(IAD)が生じやすく、二次感染のリスクが高まる可能性があります。特に女性は尿道が短いため、膀胱炎を起こしやすい構造になっています。
  • 悪臭・ニオイ
    経血と尿ではニオイの原因が異なります。生理用ナプキンでは尿特有のアンモニア臭は抑えられず、周囲に気づかれる不安(ニオイによる不快感・不安感)につながります。

<参考>

布製パッドのメリットとデメリット

使い捨てタイプに抵抗がある場合、洗って繰り返し使える布製の尿漏れパッド(軽失禁用パッド)も選択肢の一つです。

  • メリット
    肌触りがよく、かぶれや痒みが少ないと高評価を受けています。シルク素材など、肌への優しさにこだわった製品もあります。冬は暖かく、夏は汗を吸い取ってくれるという声もあります。
  • デメリット
    再使用タイプは、十分な洗浄・乾燥・頻回交換が不可欠。管理が不十分だと皮膚トラブルや臭いが増える可能性があります。また、尿が肌に接触するため、陰部がかぶれやすく、尿が密閉されないため悪臭となりやすいという欠点も指摘されています。購入価格が比較的高価であるという声もあります。

吸水パッドの真価:ナプキンとの決定的な違い

尿もれ対策専用の吸水パッド(吸水ライナー、吸水ナプキン、軽失禁パッドなど)は、生理用ナプキンでは対応できない尿の特性に合わせて設計されています。

瞬時に吸収して表面サラサラ!「逆戻り」を防ぐ構造

吸水パッドは、水分を吸収して固めるポリマーが生理用ナプキンよりも多く配合されているのが特徴です。

  • 吸収の仕組み
    尿のようなサラサラとした液体を素早く吸水し、パッド内部でビーズ(高吸収ポリマー)逆戻りをほとんど起こしません。
  • 快適性の持続
    吸収後も表面がサラサラに保たれるため、肌が湿った状態が続きにくく、ムレやかぶれの原因を予防できます。大王製紙の「ナチュラ さら肌さらり」のように、水分を引き込み、さらさら感が持続する表面シートや、熱や湿気を逃がしてムレを軽減する全面通気性バックシートを採用している製品もあります。

ニオイ対策も万全!専用機能

吸水パッドには、尿特有のアンモニア臭を抑えるための消臭機能が備わっています。

  • 消臭機能
    消臭ポリマー や、マスキング効果のある素材を配合 し、ニオイが気にならないよう工夫されています。

心理的な抵抗を克服し、QOL(生活の質)を向上させる

尿もれケア専用品は「毎日使うもの」として、自然なつけ心地とフィット感が重視されて設計されています。

  • 薄さとフィット感
    下着になじむ薄い装着感や肌ざわりにこだわって設計されており、ズボンに響かないものも多くなりました。例えば、ロリエの吸水ナプキン「さらピュア吸水超吸収スリム」は、安心の吸水力ながら薄さ1.6mm(15ccタイプ)です。
  • 心理的メリット
    専用品を使用することで、「尿もれを意識しなくなった」という声や、不安が解消され、外出や運動を諦めずに済むなど、生活が劇的に変わることが期待されます。

これが切り替えのサイン!適切なパッドの選び方とステップ

産後や軽失禁を始めたばかりで、生理用ナプキンで代用している方は、以下のサインを参考に、専用の吸水パッドへの切り替えを検討してください。

今すぐ専用パッドに切り替えるべき転換点

以下のような不都合を感じたら、それは専用パッドが必要なサインです。

  • 吸収不足
    くしゃみなどで一瞬出た尿を、生理用ナプキンが吸収しきれず、下着や衣服まで濡れてしまう時。
  • 肌トラブル
    パッドの表面が常に湿っていると感じる時や、会陰部に赤み、かぶれ、かゆみ、発疹が現れ始めた時。
  • ニオイの不安
    「もしかして臭っているのでは」と不安を感じ、消臭効果のある製品が必要だと感じた時。

尿もれ量に合わせたパッドの選び方

尿もれケア用品は、普通の下着につけて使用するパッド(吸水量が3ccから300cc)、下着タイプのおむつ(パンツタイプ)、テープ留めタイプのおむつ、インナーパッドの4種類に大きく分類されます。

軽失禁を始めたばかりの方(ナプキン代用者)は、まず「パッド」から試すのがおすすめです。

尿もれの目安量(cc)症状の目安と製品タイプ検討すべき代表的な製品の例(※吸収量ccの記載はメーカー公称に基づく)
3cc~5cc「ちょこっと漏れ」:咳、くしゃみで数滴程度。おりものと兼用の吸水ライナー。ポイズ「さらさら素肌パンティライナー」3cc
ロリエ「さらピュア吸水」3cc/5cc
チャームナップ「吸水さらフィ パンティライナー」3cc/5cc
15cc~20cc「じわ~っと」漏れる程度:下着がじわっと染みる。生理用ナプキンで代用しがちなゾーン。ロリエ「さらピュア吸水 スリムタイプ」15cc
ライフリー「さわやかパッド」20cc
ナチュラ「さら肌さらり」15cc
30cc~50cc「ぽたた…」:トイレが間に合うか心配なとき。中量用ナプキン。チャームナップ「吸水さらフィ ナプキンタイプ」50cc
アテント「コットン100% 自然素材パッド」
ポイズ「肌ケアパッド 中量用」55cc
80cc~120cc多い時/長時間:下着だけでなく衣服まで濡れる可能性がある、長時間交換できない時。ライフリー「さわやかパッド 多い時でも安心用」120cc
ポイズ「肌ケアパッド 多い時も安心用」120cc
ナチュラ「さら肌さらり 夜用」180cc

初めて試す場合は、自分のニーズに合っていると思われる低吸収量の製品から始め、吸収量が足りないと感じたら、より多い量に移行する「少量から始める」アプローチが推奨されています。

尿量がパッドで対応しきれない場合:大人用おむつ(パンツタイプ)の選択肢

パッドでは失禁量が多く、パッド外にもれそうな場合、あるいはパッド装着が面倒な場合は、下着タイプのおむつ(パンツタイプ)を考慮します。

パンツタイプは尿もれする人のための使い捨て下着です。自立している人向けのパンツタイプには、主に以下の2種類があります。

種類特徴
1. 「目立たない」重視タイプ普通の下着に近い形状をしているタイプ。吸収量の少ないものはズボンに響かないものも多いです。
2. 「もれない」重視タイプおむつの外にもれないよう、腹部や足部のゴムの幅が広く、フリルがつくなどの特徴があるタイプ。

吸収量が多くなるにつれて、おむつっぽい形状となっていきます。

【パッドとパンツの使い分け】

  • パッドのメリット
    コストが安く、外出先で下着を半分おろすだけで交換が可能です。
  • パンツのメリット
    吸収力が高い、装着は履くだけ で済みます。

パンツタイプを使用する場合、尿とりパッド(インナーパッド)を一緒に使うことで、吸収量を追加でき、経済的かつ介護負担の軽減につながります。ただし、パンツタイプの紙おむつを使用している場合でも、ムレなどによる雑菌の繁殖を防ぐため、紙おむつも定期的に交換するようにしましょう。

産後の尿漏れを改善する生活習慣とトレーニング

吸水パッドは、日常生活を快適にするためのツールですが、尿漏れの根本的な改善には、原因となる筋肉を鍛えることが重要です。

尿漏れの主な原因は「骨盤底筋群」のゆるみ

女性の尿もれの多く(腹圧性尿失禁)は、子宮や膀胱、直腸といった臓器を下から支え、尿道や肛門を締める働きをしている骨盤底筋群がゆるむことが原因です。

  • 産後の尿漏れは、主にこの腹圧性尿失禁のタイプです。妊娠や出産時の陣痛やいきみ、会陰切開などが骨盤底筋を痛め、ゆるめる原因となります。
  • 骨盤底筋は、加齢、肥満、重い荷物を持つこと、咳やくしゃみが常に出ること などによってもゆるんでしまいます。

骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)の実践

骨盤底筋群を鍛える骨盤底筋体操(ケーゲル体操)は、尿もれを予防・改善するのに効果的です。

  • 方法
    肛門と膣をキュッと締めることによって、尿道を締める筋肉を鍛えます。意識する箇所は、尿道、膣、肛門の3つの小さな穴です。
  • トレーニング実践
    仰向けの状態で膝を立て、かかとを腰に軽く近づけ、膝の間はこぶし一つか二つ分空けます。お尻だけに力が入らないように注意しながら、小さな穴をすぼめるように5秒キープし、次にお腹の力を抜きながら楽に5秒間力を抜きます。この動きを10セット、1日3セットから始めてみましょう。
  • 産後の回復
    産後の尿漏れは、産後1〜2カ月ほどで回復することが多いですが、その回復の鍵を握るのがこのトレーニングです。出産翌日から、ベッドの上で仰向けでする腹式呼吸(息を吐く時にお尻の穴を締める)など、優しく骨盤底筋のリカバリーを始めるのがおすすめです。産後1カ月健診を終えたら、本格的な体操を始めましょう。

ライフスタイルの改善と医療機関への相談

尿漏れの症状改善には、日常生活の見直しも重要です。

  • 排泄習慣の改善:頻尿を引き起こさないよう、「全然おしっこをしたくないのにトイレに行く習慣」は極力避けるべきです。
  • 食事と飲水:カフェインやアルコールには利尿作用があり、症状を悪化させるおそれがあるため、過剰な摂取や外出前の摂取を控えましょう。
  • 体重管理:肥満の人は尿もれに悩まされやすいと言われています。ライフスタイルを見直し、適正体重を維持するよう心がけましょう。
  • 便秘対策:便秘で強くいきむことは骨盤底筋をいためます。水分をこまめに摂り、食物繊維の多い食事を摂るなど、便通をコントロールしましょう。

もし、尿もれが産後3ヶ月を過ぎても続く場合 や、日常生活に支障が出るほどの症状(切迫性尿失禁など)がある場合は、泌尿器科や産婦人科の受診をお勧めします。医師による診察は、子宮筋腫などの病気が原因の可能性がないか確認するためにも重要です。特に切迫性尿失禁は病気が原因になっていることが主であり、薬物療法(膀胱の異常な動きを抑えたり、筋肉を緩めたりする) や手術が有効な場合もあります。

まとめ

尿漏れは決して恥ずかしいことではなく、年齢や出産経験を問わず多くの女性が抱える身近なトラブルです。

生理用ナプキンで尿もれ対策を代用することは、ムレや肌荒れ、ニオイ、さらには感染症のリスクを高めるため、今すぐ尿もれ対策専用の吸水パッドへ切り替えることが推奨されます。

吸水パッドは、尿を瞬時に吸収し表面をサラサラに保ち、消臭機能や薄さ、フィット感にもこだわって設計されています。自分の尿もれの量(3ccから300ccまで) に合わせた製品を使い、「産後の尿漏れ」の不安から解放されましょう。

吸水パッドを代用品から専用品に切り替え、同時に骨盤底筋トレーニングを継続的に行うことが、活動的で自信に満ちた毎日を取り戻すための「一歩踏み出す勇気」につながります。